Iコース・原子核内の中間子効果と荷電空間対称性の研究


 我々は原子核を調べる手法として、核反応で生成した偏極した不安定核からのβ線の測定を主に行っています。
 Iコースで行う実験は、スピンを整列状態にした核からのβ線の測定です。スピンを整列状態に持っていくのにNMR法を用います。スピンを整列状態にした核からのβ線の測定の目的は、1.核内の中間子効果の検出、2.β崩壊の荷電空間対称性の検証です。この二つについて簡単な説明をしたいと思います。
 原子核は中性子と陽子から構成されています。核内の陽子と中性子を結ぶ力(強い力)の簡単なイメージとして、π中間子を互いにやりとりするというものがあります(湯川模型)。ところが、通常の現象では原子核中には中性子と陽子の自由度のみを扱って計算しても説明がついていました。しかし、整列状態にした核スピンからのβ線のエネルギースペクトルを説明するためには、π中間子の効果を無視できないのです。言い換えると、スピン整列状態の核からのβ線の測定は、なかなか表に出てこなかったπ中間子の効果を調べるのに打って付けといえるのです。

 もう一つの荷電空間対称性についてです。荷電空間といいますのは、質量のほぼ等しい陽子と中性子を、電荷という点で異なる状態になっているだけの同じ粒子とみなした時に導入されるものです。荷電空間対称性の検証は、陽子数と中性子数が入れ替わった原子核でβ線のエネルギースペクトルを比較するものです。例を挙げると12N(p・7個、n・5個)と、12B(p・5個とn・7個)です。これらの実験の結果は、荷電空間の対称性は破れていないということを示しました。

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